新着

伝承者ご紹介

さつまで
生まれし言葉

聞き手
嶋田光邦について

さつま伝承
プロジェクト

お問い合わせ

伝承者ご紹介

「島津義弘公の家老を務めた曾木家の24代目」

曾木重隆

語り手
曾木 重隆 島津義弘公奉賛会 副理事長

「鬼島津」の異名を持ち、戦国時代最強の武将とも言われる島津義弘公の家老を務めた曾木家。その24代目が重隆さんです。

義弘公は関ヶ原の合戦で徳川軍の敵中を強行突破した「島津の退き口」として有名です。この壮絶な退却戦の80数名の生き残りの中に、曾木さんの祖先の五兵衛もいました。

医学の知識もあり、文武両道。家臣を大切にし、多くの人に慕われた義弘公が没して、2019年で400年。重隆さんは島津義弘公奉賛会の副理事長として、3年後に仕掛ける行事に向けて準備中です。

野太刀自顕流の使い手と言うだけに、背筋がピンと伸び、武士の末裔としてのたたずまいを感じさせる曾木さん。富士ゼロックス鹿児島前社長の嶋田光邦氏と誇り高き薩摩の歴史を振り返りながら、未来の若者に熱いメッセージを送ってもらいました。


太刀自顕流と薩摩伝統の笛・天吹。
薩摩武士の嗜みを、子供たちに教えています

奉賛会は、学舎復活のためにの活動をされているんですか?
曾木さん 旧来の学舎のスタイルは今の時代に難しいので、野太刀自顕流の道場を開くことからスタートしたんです。道場は精矛神社につくりました。私も33年間のブランクがあったんですけど、幼いころに、自宅に道場があったため毎日毎日やってきたから、体が覚えていたんです。道場を始めて16年になり、今も毎週土曜日にやっています。当時小学生だった子供が大学生とか、大学を卒業して帰ってきて、指導者として活動、道場の運営は何とかなっています。
また、天吹(てんぷく)という鹿児島古来の笛も始めました。形状は尺八を小さくしたようなものですが、異質なものです。さらに、薩摩琵琶の伝統的な教本が廃刊になっていたので、復刻もしました。昔は薩摩琵琶と、「じげんりゅう」と天吹の3つが、武士の嗜みだったわけです。
2001年から、地元の加治木中学校の1クラスに正規の授業の一環として、野太刀自顕流と天吹を教えています。私も昨年まで15年間、指導に行きました。今は引退して、後輩に任せています。
曾木重隆
薩摩の、島津の教えを伝える活動をしているのは、島津義弘公奉賛会だけですか?
曾木さん そういうものを目的として定期的に継続活動をしている会はほとんどないでしょうね。昔の学舎連合会はあるけど、今はOB会になっています。集まるのはお年寄りだけです。実質的にほそぼそと活動しているのは、うちだけです。
島津義弘公没後400年を迎えることで、いろんな仕掛けを用意されていると思いますが?
曾木さん まずは、社殿が築100年を迎えて傷んでいるので、修復しなければなりません。そして、精矛神社は戦前まで縣社という社格で氏子は県下全域、従って地元に氏子のいない神社でした。加治木島津家の重臣の末裔がほそぼそとやってきています。現在の加治木島津家13代の島津宮司が着任するまでは、必要に応じて、宮司がほかから来ていました。われわれだけでほそぼそやっているので、運営も難しいわけです。社殿及び神苑も整備し、ぜひともみなさんが集まっていただけるような魅力ある場所にしなければならないと思っています。
文化の伝承は途切れつつあります。
島津家という30数軒あった分家は、今は数える程になっています。
曾木さんは家名をついでいく大切さはどう思いますか?
曾木さん 非常に難しいんです。島津家じゃなくてもね。曾木家も、どうつないでいこうかと考えています。私が24代目でしょう。もう70歳です。そろそろ、決めなきゃいけないと思っています。ただ、私は娘2人がいるのですが、孫の代は幼いです。まして、離れて生活していますから、いろんな曾木家にまつわる話も伝えづらいわけです。
島津家は組織的にしっかりしたものを持っておられますから、ご本家筋はしっかり継承をやられます。ただ、かつて爵位をもっておられた分家筋も、私と同じで難しい。みなさん、サラリーマンなわけでしょう。ですから難しい。
曾木重隆

次ページ>> 若者は1度鹿児島から出て、外から故郷を見つめなおしてほしい

さつま伝承をつくるにあたり

きっかけは偶然ですが、素晴らしい内容になる気配を感じましたので「薩摩の地で営む経営者に向けてメッセージ」「薩摩、鹿児島そしてこの郷土に伝えたいこと」を語り手の皆々様からメッセージとしていただくことにしました。
更新は不定期ですが、貴重なお時間を割いていただき語り手に語っていただいています。ご期待下さい。
聞き手である富士ゼロックス鹿児島株式会社嶋田光邦氏は2013年7月から懇意にさせていただき、経営者として未熟な私を、日夜叱咤激励して下さいます。
このさつま伝承プロジェクトを遂行するにあたり、かけがえのない偉大な先輩であり、親父であり、兄弟であり、親友であるといえる嶋田光邦様に深謝します。

2015.10.20
株式会社エージェントプラス
橋口 洋和