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「元銀行取締役、会社再建のプロが語る経営への思い」

岩元則之

語り手
岩元 則之 さつま無双株式会社 代表取締役会長

「さつまに双(ふた)つと無い焼酎」を意味する、さつま無双株式会社。

1966年(昭和41年)、鹿児島県の焼酎を全国展開させるため、県内の酒造メーカーが加盟する鹿児島県酒造組合がつくった会社だ。
今も会社として焼酎そのものは製造しておらず、各メーカーの原酒を集めてブレンドし、
「さつま無双赤ラベル」など約150銘柄を販売している。

岩元則之会長は鹿児島銀行出身。鹿児島共同倉庫を社長として再建させ、さつま無双へ。
城山観光ホテルなど、さまざまな会社の経営に携わりながら、82歳の今も、新たなビジネスへの挑戦心は衰えない。
富士ゼロックス鹿児島顧問の嶋田光邦氏が、岩元会長に経営についての思いを聞いた。


界に誇るブランド「薩摩焼酎」をもっとアピールしたい

「薩摩焼酎」は世界貿易機関(WTO)から世界標準のブランド指定を受けているとか。
県民のみなさんはご存知なのですか?
岩元会長 いや、周知しないといけませんよね。さつま無双のように、「薩摩焼酎」のラベルをつけている業者は6社しかないんです。鹿児島県酒造組合の加盟社は、どこでも使用できるんですけど。
例えば、霧島酒造さんの黒霧島が日本で一番売れている焼酎ですが、霧島酒造さんは宮崎なので「薩摩焼酎」の世界ブランドは名乗れないわけなんです。だから、鹿児島県の焼酎すべてに、「薩摩焼酎」のマークを入れたらどうか、と私は言っているんですけど。
もったいないですよね。「シャンパン」とか「コニャック」とかと同等のブランドを宣伝しないのは。
岩元会長 そうなんですよね。
鹿児島にも100社ぐらい蔵元があるので、まとまるのはなかなか難しいのです。
私もお酒は好きですから、鹿児島の焼酎をどんどんアピールしていただきたいです。
若者の酒離れが進んでいる現状もありますから。
岩元会長 確かに、若い人はお酒を飲まなくなりました。
積極的に飲み会に行こうとしませんよね。
岩元会長 若い人だって酒は好きなんですよ。最近は特に女性が焼酎をよく飲むようになりました。
男性は積極的に飲み会に行こうとしませんね。
確かに若手の積極性のなさは気になります。
われわれ年配の者が、積極的に動ける環境をつくってやれないか、と考えているところです。
岩元会長 われわれは「おはら祭」の参加にしても、若手を主役にしてやっています。若い人に責任をもたせたらやりますよ。飲み会でも、何でも。
だから、私も、若い人たちには上から言うんじゃなくて、自発的に動いてもらえるようにやっていこうと考えています。
「薩摩焼酎」ラベル
ウイスキーが「マッサン」効果と宣伝の効果で人気です。特にハイボールが。
焼酎とウイスキーは同じ蒸留酒ですよね。だから、もっと焼酎を宣伝できたらと思います。
岩元会長 さつま無双でも、オーク樽に貯蔵していた15年ものぐらいの麦焼酎がありました。鹿児島の人は麦焼酎を飲まないですから、売れ残って15年ぐらい樽の中に眠っていたんです。色は真っ黒でした。
3年前ぐらいかな。羽田空港で「ハイボール始めました」という張り紙を見て、焼酎もハイボールにしたら売れるかな、と思いまして。焼酎を通販している薩摩恵比須堂に言って、売ったんです。「伽羅麦(きゃらむぎ)」という名で、ハイボール用に。15万本ぐらいあったんですが、1年で売り切れたんですよ。
今の時代はいろんなことをやっていかないと、生き残っていけませんからね。さつま無双は、海外の旅行者向けの焼酎も造っていますよ。
僕も2005年~2008年に、中国に勤務したことがありまして。
上海だったんですが、当時は米焼酎の「しろ」か、麦焼酎の「いいちこ」しかなかったんです。
芋焼酎はありませんでした。
岩元会長 今は上海、北京、天津、大連に、さつま無双の焼酎を出していますよ。中国で焼酎を販売するのは、政治の問題もあって大変です。
タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアなど東南アジアは10カ国に出荷していますが、タイやベトナムは好感触ですね。

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さつま伝承をつくるにあたり

きっかけは偶然ですが、素晴らしい内容になる気配を感じましたので「薩摩の地で営む経営者に向けてメッセージ」「薩摩、鹿児島そしてこの郷土に伝えたいこと」を語り手の皆々様からメッセージとしていただくことにしました。
更新は不定期ですが、貴重なお時間を割いていただき語り手に語っていただいています。ご期待下さい。
聞き手である富士ゼロックス鹿児島株式会社嶋田光邦氏は2013年7月から懇意にさせていただき、経営者として未熟な私を、日夜叱咤激励して下さいます。
このさつま伝承プロジェクトを遂行するにあたり、かけがえのない偉大な先輩であり、親父であり、兄弟であり、親友であるといえる嶋田光邦様に深謝します。

2015.10.20
株式会社エージェントプラス
橋口 洋和