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「役立つ商品であり、喜ばれる商品であれ」

重久対談

語り手
重久 政純 福山酢醸造株式会社 5代目 代表取締役会長

世界でも類を見ない露天かめ壺仕込みの黒酢生産地として知られる鹿児島県霧島市福山町。
昨今の健康食ブームで、福山の黒酢は全国的に有名だ。

「ヤマシゲ」の福山酢として知られ、200年にわたって伝統の製法を守り抜いている
福山酢醸造株式会社の商品は、味のプロである飲食業界にファンが多い。

江戸時代創業と言われる老舗がいかにして続いて来たのか。そして目指す未来とは?
5代目の重久政純会長に、富士ゼロックス鹿児島株式会社前社長で現顧問の嶋田光邦氏が聞いた。

しい酢の商品開発がテーマ

ところで黒酢を使ったレストランが増えてきている気がします。
ヤマシゲでは考えられていませんか?
重久会長 これからますます、そういう市場があるでしょう。悪くはないと思います。ただ、レストランをすれば商品を大量生産する必要があります。すると、伝統的な製法が手抜きを始めます。急いで造れ、となりますので。品質が当然悪くなる。植物を育てるのといっしょで、手を抜いたらすぐしおれていきますね。大事なのは、おいしいお酢をつくることです。
私どもはお客様が大事です。お客様はレストランであり、料亭であり、お寿司屋さんであるわけです。業務用では普通は使わないような、うちで一番値段の高いお酢を使っていただけているホテルがあったりするわけです。
そういうお客様がある以上、われわれがレストランとか、お寿司屋さんをするのは、ちょっと。おいしいお酢の商品を開発することはいいと思いますが。
お客様が大事ということ、よくわかりました。
さて、最近では、健康志向の方が増えていますが、
健康と黒酢についてはどう考えられていますか?
重久会長 これからは日本社会は高齢化というか、老齢化していきます。国は社会保障は考えるが、医療費は持たないでしょう。そうなると、健康でなければいけない。食生活を通じて健康になるのが一番良いですよね。
お酢は血液を浄化します。ただ、それを売りにするのではなく、おいしい酢の物をどんどん食べてもらって、健康であればいいと思います。
我々としては、美味しかったよ、というお客様の言葉が一番の仕事のやりがいであります。
商品/重久

私はもずく酢が大好きなんですよ。
酢のサプリメントもありますが、
生の食材と一緒に酢を取る方が健康じゃないかと思うのですが。
重久会長 もずくはいいですね。鹿児島には全国2位の生産量のらっきょうがあります。お酢をいっぱい使いますよ。私どもはお酢を調味料としてとらえています。健康食品としてもいいのですが、それを売りにするのではなく、やはりおいしく食材を食べるための基礎調味料として売りたい。
ただし、若い世代の方が基礎調味料のベースとして酢を使いこなせるかどうかが、これからのテーマになってくるでしょう。
実は私の娘がお酢の料理がちょっと下手で。
お酢を造っているメーカーとして、
おいしい酢を使った料理レシピを出していただけたらありがたいです。
重久会長 若い方は、一から調味料をつくっていくことをしなくなっていますから、レシピを教えてあげても「そうですか」で終わってしまいます。
これまで基礎調味料としてメーカーはお酢を造ってきましたが、もっと手を加えて、「酢豚が簡単にできます」「いろんな料理にそのまま薄めず使えます」というような加工酢を造ったりする必要があります。それは、今からの調味料のあるべき道です。
われわれは福山の黒酢を今の位置まで持ってきましたが、果たして今後も古い製法の酢のままでいいのか。今からは若い人たちが自分たちの子供たちに伝えていける商品造りをしなければいけません。
企業というものは、そうやって続いていくものです。
200年間続いているのはすごいですよ。
重久会長 お客様がいるからですよ。お客様がなかったら続かないです。

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さつま伝承をつくるにあたり

きっかけは偶然ですが、素晴らしい内容になる気配を感じましたので「薩摩の地で営む経営者に向けてメッセージ」「薩摩、鹿児島そしてこの郷土に伝えたいこと」を語り手の皆々様からメッセージとしていただくことにしました。
更新は不定期ですが、貴重なお時間を割いていただき語り手に語っていただいています。ご期待下さい。
聞き手である富士ゼロックス鹿児島株式会社嶋田光邦氏は2013年7月から懇意にさせていただき、経営者として未熟な私を、日夜叱咤激励して下さいます。
このさつま伝承プロジェクトを遂行するにあたり、かけがえのない偉大な先輩であり、親父であり、兄弟であり、親友であるといえる嶋田光邦様に深謝します。2015.10.20
株式会社エージェントプラス
橋口 洋和